宗教について 〜 人の生と死を考える 注2

公開: 2023年3月5日

更新: 2023年4月6日

注2. 旧統一教会と文鮮明

世界平和統一家庭連合は、1954年、韓国において文鮮明氏が設立した、キリスト教の教えを基にした新宗派の「統一教会(正式には、世界基督教統一神霊協会)」を基にして、1994年に改名された日本の宗教法人です。

旧統一教会は、1960年代末から、様々な大学内に「原理研究会」と名付けたサークルを発足させ、日本社会に内在していた問題を解決するためにと言って、大学生を勧誘し、その教団の信者を増やしてゆきました。信者となった学生の親たちからは、「子供を教団に取られた」とする訴えが数多く出され、報道を通して世間の注目を集めました。

旧統一教会では、「反日」「反共産主義」の思想を核として、布教活動を展開していました。1960年代に盛んになった日本国内の布教活動でも、この2つの思想を重点とした点には、大きな変化はありませんでした。

にも拘らず、日本国内では、教祖の文鮮明氏は、自由民主党に接近を試みました。特に、第2次世界大戦中から反共産主義を唱えていた自由民主党の元総理大臣、岸伸介氏(安倍晋三元総理の母方の祖父)に接近し、相互に協力して、日本国内における反共産主義態勢の確立・強化を推進しました。

その一方で、教団は日本国内の各大学に設置した「原理研究会」で教化に成功した人材を中心にして、一般の市民を対象とした布教活動も活発に展開しました。そのとき、旧統一教会では、一般市民の信者から、教会への寄付を集め、韓国に設立された協会本部への、活動資金送付に重点を置いていました。

現在、旧統一教会に親和的な態度を示している自由民主党の党員や、所属議員には、大学時代に「原理研究会」に参加し、旧統一教会の信者として活動を続けている人々がいます。それだけではなく、文鮮明氏の岸信介氏への接近によって、旧統一教会からの選挙支援を受けた自由民主党候補、野党候補などもいます。

旧統一教会が、日本社会において推進すべき政策として提案している、「性的マイノリティーの人々に対して、社会的な抑圧を与える」ことに関係した政策などが、自由民主党の一部の議員から支援されている理由に、自由民主党と旧統一教会との関係が関係しているとみられています。

参考になる読み物